あらためて「賃貸 VS 住宅ローン」の長所・短所を確認しよう
自分の住宅をどのように手に入れるのか、というのは誰にとっても大きな問題です。 住宅ローンを組んで返済していくのか、それとも賃貸を続けるのか、判断に迷うところです。
ここでは十分な情報を得た上で後悔のない決断をしていけるよう、両方の選択肢の長所と短所をあらためて確認していきましょう。
賃貸の長所
◎貯蓄が自由になる
賃貸生活を選択することで、これまでの貯金を、頭金や住宅購入にかかる諸費用に使う必要がなくなります。その分、他のことにお金を使ったり、投資にまわしたりすることができます。 投資先によっては、住宅を購入した場合よりも大きなリターンを得られるかもしれません。
場合によっては、月収を頭金や住宅ローンに回すにはまだ早い時期かもしれません。 若い時にしかできない旅行や勉強にお金を使いたい人もいるでしょう。
◎より柔軟性がある
賃貸は柔軟性があります。 賃貸の場合は契約期間が終われば、物件を替えたり、住む地域を替えたりと、自由に転居することができます。
一方、ローンを組んで購入してしまうと、売買には大きなコストがかかるため、転居の自由度は低くなります。
◎投資の分散が可能
住宅を購入する場合、特に初めて住宅を購入する人は、これまで貯めてきたお金を1つの資産に投じることになります。 事実上貯蓄の全額を、1つの投資に結び付けられることに抵抗があるようならば、住宅購入は考え物です。
賃貸であれば貯蓄を幅広い投資に活用することができます。 投資対象を分散させることで、潜在的なリスクも分散させることができます。
賃貸の短所
✖賃貸は割高になる可能性がある
居住地によっては住宅ローンの返済額が賃貸料より高くなることもありますが、ローンの期間を長期的に見れば、元本の返済が進むにつれて支払利息は少なくなります。
30年以内に住宅ローンを完済できる人も少なくありません。 確かに家の維持費や固定資産税などは発生しますが、毎月の支払いからは解放され、文字通り自分の家に住むことができるのです。
一方、賃貸を選べば、常に家賃の支払いが発生します。過去の歴史を振り返れば、インフレと不動産価格の上昇により、賃貸費用は年々確実に上昇しています。 退職して収入が減ると、毎月まとまったお金を用意するのが難しくなるかもしれません。長期的には、家賃の値上げも出てくるでしょう。
✖投資効果がない
住宅ローンはある意味強制的な貯蓄のようなものです。 毎月住宅ローンの返済額を支払うことで、結果として不動産という「時間の経過とともに価値の上昇する可能性のある資産」に投資していることになります。 しかし賃貸の場合、そのような効果はありません。
住宅購入の長所
◎安定と自由を得ることができる
自分の家を購入してしまえば、家主の都合で追い出される心配もありません。 賃貸物件だと借り主は賃貸期間以外については事実上口を出すことができません。
一方、マイホームに住んでいるとリフォームやインテリアを自由にすることができるというメリットもあります。
◎時間の経過とともに上昇する不動産価値
時間の経過とともに価値が上がる可能性のある資産を持つことは、魅力的なことです。 不動産の価値は、伸び悩む時期や値下がりする時期もある一方、基本的には安定して上昇する傾向にあります。 持ち家は長期的な投資戦略であることを忘れてはいけません。
◎自宅のエクイティを活用できる
「ホームエクイティ」とは、自分の持ち家の価値が資産全体に占める割合のことです。 持ち家の価値が上がっていれば、ローンを返済していくことで、自己資本も増えていくことになります。
住宅購入の短所
✖利息を支払うことになる
ローン期間中に支払う利息や手数料は、決して少なくありません。 特に変動金利の場合や固定金利期間が終了した場合などは、ローン返済期間中に金利が変動することを覚悟しておきましょう。
✖機会費用を考慮する必要がある
ここでいう「機会費用」とは、他の場所で使ったり投資したりできたはずの資金を、不動産にだけ使ってしまうことを表します。
賃貸生活を選べば、貯めていたお金を頭金や住宅ローン返済に使わずに、別のところで使うことができます。 旅行や勉強、娯楽、自分のビジネスなどに使うことができるかもしれません。 また、住宅よりも大きな、あるいは迅速なリターンが期待できる他の投資にも使える可能性もあるでしょう。
✖所有にかかる費用は、頭金とローン返済だけではない
住宅の購入や売却は決して安いものではありません。 たとえば家を売る場合には、代理店手数料、広告料などが、売却価格の4%程度がかかります。 また、購入費用の約6%が、印紙税、手数料、譲渡費用、ローン設定費用に費やされます。
さらに、不動産を所有するための継続的なランニングコストとして、固定資産税、修繕費、水道光熱費、保険料などがかかります。 これは頭金に相当する金額を貯めるよりもずっと大変なことなのです。
自分にとって「最適な選択」とは
分かりきったことですが、購入か賃貸かを決めるのは簡単な問題ではありません。 資金力、ライフスタイル、家族のニーズ、投資目標、リスク許容度など、考慮すべき要因はさまざまです。 自分自身でよく調べ、その上で専門家に相談するのが間違いないでしょう。