シャイな性格は治せる? それとも心の病・・・?
比較的多くの人が自分を恥ずかしがり屋で引っ込み思案、いわゆる「シャイ」な性格だと感じているようです。
自分がシャイであることを苦にして、精神科の専門家や心理カウンセラーに「シャイな性格を治して欲しい」と相談に来る人がしばしばいます。
【シャイな性格は「治す」ことは出来ない】
結論から言うと、シャイな性格は治すことができないものです。
なぜならシャイと言うのは精神医学上の「症状」ではないからです。
シャイな人は、外で人と接触しなければいけない状況では不安を感じてしまいます。
場合によってはそのために気分が落ち込んでしまう人もいます。
それでもやはり、シャイであることは個人々々の性格に過ぎません。
精神疾患ではないのです。
また、シャイな性格は親から受け継ぐ可能性が高いと見られています。
つまりシャイな人は、その性格のせいで感じてしまう心配をコントロールし対処することはできますが、シャイな性格そのものをなくすことはできないのです。
【社交不安障害であれば治療が必要】
しかし人によっては社会で人と接触することにある種の恐怖心をいだき、そのせいで気分が落ち込んだり、ひどい場合は会社に行く・授業に出席するなどの日常行為に支障をきたすこともあります。
この場合は、いわゆる「社交不安障害」になっている可能性が高いでしょう。
これは精神疾患のひとつで、数パーセントの人はこの症状をかかえているといわれています。
外で人と会うことを恐れたり、場合によっては混んでいるレストランで食事をしたり、自宅以外のトイレに入ることにも恐怖を感じる場合があるようです。
【広場恐怖症と同じ?】
いわゆる「広場恐怖症」と呼ばれる症状と「社交不安障害」とは、それぞれ別の症状です。
この二つは、その症状の現れ方が似ているため混同されがちですが、その発祥原因が異なります。
広場恐怖症は、何かに囚われてしまうことに恐怖を感じたり、囚われた状況から抜け出し「安全」だと感じる場所に逃げることが出来ない状態に恐怖を感じる症状です。
よくあるパターンとしては、映画館、エレベーター、飛行機など混雑した場所にいると恐怖を感じるというものです。
この症状の原因は、自分の周りにほかの人が存在することではなく、囚われていると感じることなのです。
しかし社交不安障害は、周りにいる人たちが自分をどう思っているのかをひどく心配してしまう、という症状が現れます。
【シャイは内向的?】
またシャイであることと「内向的」であることも異なります。
これもやはり原因が異なるものであって、どのような行動・態度が現れるかは余り問題ではありません。
内向的な人は、自分のいる環境を不快だと感じる度合いが強くなります。
たくさんの人が集まる場所や、とても騒がしい場所、またきつい締め切りを目前に仕事を進めるなどプレッシャーのある状況などが、精神的に負担となってしまいます。
これはほかの人たちが自分をどう評価するかを恐れているのではなく、自分のいる環境がもたらす刺激に打ち負かされてしまうため、その環境を避けようとする感情の現われです。
それに対してシャイな人というのは、ほかの人たちと一緒にいたいと望んでいるのに、彼らと上手に関係を築けないのではないか、と心配してしまう人なのです。
【ではどうすればいいか?】
もしシャイな人が社会生活においてあまり不安な様子を見せないようにするためには、いわゆるCBT(認知行動療法)が役立つでしょう。
しかしほとんどの場合、自分がシャイであると感じている人は、以下の3点を理解し、意識するだけで十分です。
・シャイであることは自分の性格の一面に過ぎない
・シャイであっても決し恥ずかしがる必要はない
・シャイであることは、あたかも治すべき性格であるかのように感じてしまうが、あくまでもそう感じるだけ
これらを理解し受け入れれば、あなたはシャイな性格であり続けても、シャイであることを心配する必要はなくなるでしょう。
(http://www.telegraph.co.uk/wellbeing/mood-and-mind/shyness-cure-health-mind-healing-advice-shy/)