ピーター・リンチの推奨する「ボトムアップ・アプローチ」とは?
世界的に著名な投資家であるピーター・リンチ氏は、「投資対象となる企業の研究については、専門家よりも個人投資家のほうが有利である」と唱えています。
その理由は以下のとおりです。
プロの投資家とは違い、個人投資家は独自に調査活動を行うことができる。
プロの投資家たちは、自分の上司や「○○委員会」「○○ファンド」などに拘束されることが多いが、個人投資家はそのような束縛もなく自由に市場を調査・開拓できる、という有利な点がある。
この自由さがあるおかげで、将来利益を生む投資先を発見できる能力・可能性がより高いのだ。
そして投資対象を探し出す方法として、以下のアウトラインを述べています。
「ボトムアップ・アプローチ」でよい投資先を見つけ出すべきだ。
まず、ひとつひとつ投資対象の候補を掘り出してゆく。
そして、その対象企業の業務内容を研究する。
最後に、ファンダメンタル分析を行い、将来の成長性と収益性のポテンシャルを検証するのだ。
【ボトムアップ・アプローチとは?】
ここでリンチ氏が述べている「ボトムアップ・アプローチ」とは何か、あらためて学んでみたいと思います。
ボトムアップ・アプローチとは、経済や市場のサイクルをあまり重要視しない方法です。
つまり、投資対象となる企業の分析にフォーカスするやり方といえます。
その企業が属する業種の動向や、その時の経済全体の動きなどの調査・研究を第一に行うものではありません。
このアプローチの根底には、たとえ業界全体は上手くいっていないときでも、個々の企業がそれなりのパフォーマンスを行うことは可能である、という想定があります。
対象としている企業をしっかり研究することが求められますので、株価の変動だけではなく、その会社の製品やサービス、財務状況、研究開発などの状況にもしっかり通じておくことが必要になります。
これはまさに、上記でピーター・リンチ氏が個人投資家にすすめている投資対象の選定方法と一致します。
【トップダウン・アプローチとは?】
ではついでにこの反対の「トップダウン・アプローチ」をチェックしておきましょう。
トップダウン・アプローチでは全体像を分析することから始まります。
経済状況を把握し、どの業種が最も大きなリターンを生んでくれる(可能性が高いか)を見出そうとするものです。
こうして有望な業種を選定した上で、その業界の個々の企業を調べ、株式投資への判断を行うことになります。