ビル・ゲイツの薦める10冊の本
「学ぶ人は稼ぐ人」という言葉を知っていますか?
ビル・ゲイツ氏は知っているはずです。
彼は1週間に1冊の本を読むよう努めています。そして誰も彼の学習能力を疑わないでしょう。
ゲイツ氏は自身のブログ「Gates Notes」で、読んだ本のレビューをしています。それを手がかかりに、私たちは彼の思想を追うことができるのです。
(注:日本語訳が出版されていないものについては、英語版を紹介してあります)
1. 人と企業はどこで間違えるのか?---成功と失敗の本質を探る「10の物語」(ジョン・ブルックス)
大きな成功を得るためには、事業が成功した理由とともに失敗した理由を知っていることが大切です。この本は、この両方の理由について深く掘り下げています。
この本についてゲイツ氏は:
ウォーレン(・バフェット)がこの本を貸してくれてから20年以上、そしてこの本が出版されてから40年以上がたつが、やはりこの本は私が読んだ中で最も優れたビジネス書だ。
ジョン・ブルックスは 私の好きなビジネスライターだ。
2. 完全読解 伝説の投資家バフェットの教え(キャロル・ルーミス)
ビル・ゲイツ氏がウォーレン・バフェット氏と強力な関係を築いていても、なんら不思議ではありません。バフェット氏の同僚であり近しい友人でもあったキャロル・ルーミスが、バフェット氏に関する記録をまとめたのがこの本です。偉大な成功というのがどのように成りたってゆくのかを知りたい人は、ぜひこの本を読んでみましょう。
ビル・ゲイツ談:
この本を最初から最後まで読んだ人はみな二通りの反応をするだろう。一つは、ウォーレンはキャリアを通して、自分のヴィジョンと投資原則をつねに一貫して用いきていたということ、二つ目は、彼の分析力とビジネスやマーケティングについての理解力は比類ないものだということだ。
3. Life Is What You Make It(ピーター・バフェット)
ピーター・バフェット自身も成功した人生を送った人です。単に裕福で成功した父親のおかげだけではありませんでした。この本は、裕福でも一生懸命努力してきた子供の話であり、音楽や慈善活動の分野で成功するために、父親からどのような教えを受けてきたかが書かれています。ビル・ゲイツ氏はこの本を子供たちに読んで聞かせたいと言っています。この本に書かれている英知を学び、自分の道を歩んでゆくためには、決してお金持ちの子供である必要はないのです。
ビル・ゲイツ談:
多くの人が考えているのとは正反対で、ピーターは父親から多額の富を相続しません。代わりに、自分自身の道を見つけるように両親から勧められてきました。この本はその旅路と、その過程で築き上げてきた英知、そして経験を記したものなのです。
(英語版)
4. Awakening Joy(ジェームズ・バラズ)
あなたはどうして成功したいのですか?喜びを感じられるから、というのが理由かもしれません。この本は成功へと進みながらもどのようにして喜びを得るか、について教えてくれます。
ビル・ゲイツ談:
喜びというのは、運のいいほんの少数の人だけが得るものではないのです。誰もが選択できることなのです。この画期的な本の中でジェームズ・バラズは、多くの人から支持されているやり方を示してくれます。そして、今あなたの目の前にある幸福をどのように発見するかについてヒントを与えてくれるのです。あなたの精神を不満とイライラから解き放し、毎日の生活に満ち溢れている満足と喜びに向けるための方法を、一つひとつ丁寧に教えてくれるでしょう。
(英語版)
5. イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則(スティーブン・ジョンソン)
成功するためにはそれなりの革新的な行動が必要になります。流行っている専門用語が強い先見の明をもたらすことは余りありません。この本は、革新的な行動が成功するために必要な土壌というのは、どのように作られるのかを教えてくれます。
ビル・ゲイツ談:
ビジネスや教育の分野で働く人たちにとっては特に価値のある本です。グッドアイデアが生まれやすくする組織構造について書かれています。最先端の問題について考えをめぐらす人たちを多く知るためにはどうすればいいか。異なる技術が用意され、またその技術が影響力を持つ、そんな環境にいる人々がどのように協力してゆくべきか。結論を急ぐことなく、必要な種類の材料を入手可能にするにはどうすべきか。そういうことを教えてくれる本です。
6. ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(ジョシュア・フォア)
忘れっぽい人だと思われてしまったら、成功はできないでしょう。この本は捉え難い事実や役に立つことをどのように記憶すればよいかを教えてくれます。人の名前を覚えるのが不得意な人におすすめです。
ビル・ゲイツ談:
私は頭脳がどのように動いているのかということにとても魅惑されています。記憶は頭脳の働きにとって重要な要素です。この本の素晴らしい部分の一つは、記憶と理解とは異なった二つの別物ではない、ということをはっきり示してくれることです。理性的に考える能力を身に付けることと、情報を保持する能力とは、連動しているものなのです。
7. Academically Adrift: Limited Learning on College Campuses(Richard Arum, Josipa Roksa)
この本は、私たちみんなが疑い続けてきたことを単刀直入に切り出します。つまり、学校教育は私たちが信じていたほど学ぶことに力を注いでこなかったのではないか、ということです。
ビル・ゲイツ談:
この本に書かれている散々たる結果は、全国統一試験の結果です。この試験は、生徒たちに実践的な決断をさせ(例:ある会社がどのような飛行機を購入するべきか?など)、達成すべき目標やほかの選択肢も考慮したうえで、その理由を説明させるというものでした。私は高等教育が抱えている多くの問題の解決に向けて、革新的な可能性があると信じています。しかしより多くの、より優れた情報が必要なのです。
(英語版)
8. かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか(トーマス・フリードマン、マイケル・マンデルバウム)
アメリカの状態が急速に悪化すると考えてしまうと、世界の悲惨なイメージが出来上がってしまいます。悲惨なイメージは個人の成功への能力をダメにしてしまうものです。確かに、間違っていない側面もあります。アメリカはほかの国ほど成長率が高くありません。数学や科学、時にはビジネスでさえも、ほかの国に先を越されています。しかし、実際はそれほど恐ろしいことではありません。私たちは今まで、ほかの国々が私たちのようになりたいと思わせることに成功してきました。そして今アメリカは、次のステップを踏み世界を牽引して行くのです。
ビル・ゲイツ談:
これはとても素晴らしい本なので、みんなに読んで欲しい。現在アメリカと対等に争い、アメリカに対してある種の脅威をももたらしている国々は、アメリカが過去にやってきたことと違うことをしているのではない、というのがこの本の基本的なメッセージです。今アメリカにとっては、ほかの国への対応が難しくなっていますが、それはほかの国々が私たちのかつての状態を真似ているからなのです。私たちはその間に変化しているのです。今の社会が裕福になればなるほど、人権を守ったり、環境を破壊しないことに、より注意が必要となります。
成功するためには、難しい境遇を美しい芸術品のように変えてしまうことが必要になります。鄧小平が中国で行ったことこそ、そういうことなのです。彼が政権をとるまで、中国は貧困に陥っており、その状態から脱出できないままでした。そこに鄧小平が現れ、中国のビジネスを変え、経済を発展へと導いたのです。
ビル・ゲイツ談:
1979年の中国は、世界で最も貧しい国でした。インドよりも貧しかったのです。人々はどうにか暮らしを立てていましたが、人口密度の高さのせいで、全人民を養うのはとても困難でした。共産党が強力な権威を持っているという事実を除いて、何も頼れるものがない状態だったのです。
しかし鄧小平は政権を握ると、この権威を使って幾つもの革新的な変更を実行して行きました。そして文化面の安定と大きな経済成長を実現したのです。これをたった一代の政権で行ったのはきわめて優れた事業であり、世界の歴史の中でも類を見ないものです。
10.The Most Powerful Idea in the World(ウィリアム・ローゼン)
一見すると、鉄道とエンジンについて書かれた本のように見えます。そういうことに興味のある人にとっても、ステキな一冊となるでしょう。しかしこの本が本当に意図するのは、なぜこのような機械がここまで成功したのか、ということなのです。鉄道に世界を変えるほどの力を持たせたアイデアとは、どのようなものだったのでしょうか?
ビル・ゲイツ談:
この本では、イングランド、スコットランド、ウェールズそしてアメリカなど英語圏の国々が、産業革命の震源であったということを前提にしています。「発明の本質を民主化した」というのがその理由です。ローゼンは蒸気機関こそ仕事における民主化の最高の例であるという、説得力のある主張をしています。
ローゼンの考え方は、ビル・ゲイツ財団の仕事を進めるために測定することが大きな力になるという私の考えと一致するのです。(2013年のビル・ゲイツ財団からの手紙において、私は測定ということにフォーカスしました。明確な目標を定め、そこに至るまでの進展を測定することで、地球規模の健康問題、教育問題、またその他の分野においてすぐれた仕事が達成可能になる、と考えています。)
(英語版)
The Most Powerful Idea in the World: A Story of Steam, Industry, and Invention |