『ナルニア国物語』のC.S.ルイスが語る「ライティングに必要な5つのルール」
『ナルニア国物語』で知られるギリスの作家C.S.ルイスは、ファンレターにマメに返信をする作家でした。
そんなルイスと手紙のやり取りをしたファンの一人にジョーンという名の少女がいました。ジョーンとは、手紙の数が20通に及んだといわれています。
ジョーンとのやり取りの中で、ルイスはライティングに必要な5つのルールを示しています。
C.S.ルイス ライティングに必要な5つのルール
1. 自分の言いたいことをハッキリさせ、文章が別の意味になってしまうことがないような言葉の使い方に努めましょう。
2. 長くてあいまいな言葉ではなく、簡潔で直接的な言葉を使うようにしましょう。
3. 具体的な言葉を使えるときは、抽象的な言葉を使うのはやめましょう。「死者数が上昇した」ではなく「多くの人たちが亡くなった」と書くべきです。
4. 文章を書くときは、読んだ人に抱いてほしい感情を言葉で表すのはやめましょう。つまり「あれはひどい」と書くのではなく、読んだ人がひどいと感じてくれるような書き方で描写しなくてはいけません。
5. ある主題について極端に大げさな言葉は使わないようにしましょう。「とても」という意味で「無限に」という言葉を使ってはいけません。さもないと、本当に無限なものを表現したいときに使える言葉がなくなってしまうからです。
C.S.ルイスは主に児童文学で大きな足跡を残した人物ですので、ここで挙げられた5つのルールも物語や小説を書こうとしている人たちに向けたアドバイスだと思われます。
しかしそのエッセンスは、ふだん仕事でメールを書いたり、レポートをつくったりする私たちも十分に活かせるものです。
これら5つのルールに共通している原則、それは「読者第一」ということです。
私たちは単に自分たちのためだけに書くのではありません。
書いたものを世の中と共有するために書くのです。
つまり、自分の書いたものを直すときは、自分自身が読み手になり想像力を働かせる必要があります。
文章がクリアでシンプルになっているか?
混同させてしまう部分はないか?
二重の意味になってしまう(=別の意味で読まれてしまう)ものはないか?
これらの基本を、読者の立場で実践していくことが必要です。
しかし、また別のエッセイでルイスはこう言っています。
「決められたものを教えるよりは、美学を学ぶほうが良い」
つまり、文章はこう書きましょう・・・という「教え」を受けてそれを実践するよりも、良い文章から大事なエッセンスを導き出し、自分の力でそれを学び取ることをルイスは訴えているのです。
もしかするとこの最後の一言こそが、学習する人にもっとも大切な姿勢なのかも知れません。