イラストブロガーからスタートした「ヴァルフェー」 成功までの道のりを語る

日本でもiPhoneケースが人気になったブランド「ヴァルフェー」。

 

このブランドの創設者イルゼ・ヴァルフェーは、22歳のときに始めたブログのおかげで幼稚園の先生からファッション、アクセサリー、アートビジネスの成功者へと転身しました。

 

 

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http://www.bbc.com/news/business-42314969

 

現在、ジェシカ・アルバエマ・ロバーツ、ベラ・ソーンなどもヴァルフェー・ブランドのファンとして知られる程の成功をおさめましたが、その裏には違法コピーから自分のデザインを守り、立ちはだかる物流の障害を乗り越えるなど、数々の困難がありました。

 

イラストブロガーとしてスタート

「子供は大好きですが、幼稚園の先生は私の天職ではありませんでした」。

 

2010年、イルゼはカルフォルニア州サンディエゴでの先生の仕事をやめ、自身が描く作品をブログで紹介することに専念するを決意します。

 

「絵を描くことは私の趣味でした。ですから自分の描いたイラストを投稿して、それをベースにビジネスをやっていきたいと思ったのです」。

 

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http://www.bbc.com/news/business-42314969

 

リスクのあるプランですし、実際お金を節約する必要から両親の住むメキシコに戻らなくてはいけませんでした。

 

しかし彼女の描くアニメのような女性キャラクターはすぐに注目されるようになりました。

 

イルゼはマンガや日本のアニメが大好きで、その影響を受けたイラストを多く描いていました。

 

「私は自分で買うことができないファッションを身につけた女性たちを描き、それをブログでシェアしていったんです」

 

「ブログは一日に2回更新し、それを毎日々々続けました。そのうち、更新するたびに5ドルほど稼げるようになってきたのです。それから一年たつと、フォロワーがかなりの人数になっていました」。

 

成功はSNSのおかげ

イルゼはあるとき、彼女のデザインをそのままコピーした洋服が中国でネット販売されているのを発見しました。

 

「そのとき私は自分の作品が商品になることを知ったのです。そして自分独自で商品をつくろうと思いました」。

 

そして彼女はトートバッグやTシャツなど自身の商品の製造販売を開始し、これが2013年にブランド「ヴァルフェー」の立ち上げにつながりました。

 

現在ヴァルフェーはロサンゼルスに本拠地を置き、彼女の作品をモチーフにした女性服やアクセサリー、プリントやグリーティングカードなどの幅広い商品の販売を行っています。

 

この会社は急成長し、2016年には200万ドルの売上を計上、また「Urban Outfitters」「Nordstrom」などの店舗をつうじて28各国で販売を行っています。

 

現在30歳になったイルゼは、自身のブランドの成長にはソーシャルメディアが大きな役割を果たし、その成功にはインスタグラムが大きく貢献した、と語っています。

 

「私が始めたころは、インスタグラムはごく新しいものでした。私のブランドを立ち上げることが決まったときにはわずか25,000フォロワーしかいませんでしたが、私のやることにとても注目してくれていたのです。投稿をしてから1時間以内には売り切れてしまうこともあります」。

 

現在は70万人を超えるフォロワーを抱える人気アカウントになりました。

 

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http://www.bbc.com/news/business-42314969

 

パートナーとの出会い

ブランドとして成功したあとも、イルゼはビジネスを軌道に載せるまでいくつかのハードルに直面していました。

 

2011年、彼女は「Big Cartel」というファッション専用のオンライン市場で自身の商品を売り始めました。

 

しかしそのとき彼女はまだメキシコに住んでおり、このBig Cartelはアメリカのお客さんを対象にしたサイトでした。

 

そのため自宅からメキシコ国境を越え、アメリカに入国してから商品を郵送する必要があったのです。 当時は車を持っておらず、歩いて商品の運搬をしていました。

 

しかし同じ2011年の後半、カリフォルニアでコーチェラ・フェスティヴァルに参加したとき、大きな出会いがあります。 イルゼは後に夫となるドナルドと出会いました。

 

当時ドナルドは新しいビジネスを始めた起業家でしたが、ヴァルフェーのブランドとしてのポテンシャルを見出したのです。

 

それ以来、ドナルドはヴァルフェーのCEOを務めています。

 

始めた当初、二人は会社のすべての在庫を2DKのアパートに詰め込んでおかなくてはいけませんでした。 その状態は二人が結婚して、最初の子供が生まれた後まで続きました。

 

「部屋の中は箱だらけでした。カスタマーサービスからフルフィルメントまですべて私たちだけでやらなくてはいけなかったのです。オフィスを借りたり誰かを雇ったりする資金はありませんでしたから、コントロールするは大変でした」。

 

しかし2014年になるとようやく売上も上がり、ヴァルフェーは初めて従業員を雇い、ロサンゼルスにオフィスを借りることができるようになりました。

 

アジア進出と将来の展望

現在ヴァルフェーは日本を始めアジア各国で人気のブランドになりましたが、イルゼによるとこれは3Dシリコンケースの大きな成功のおかげだと言います。 この牛乳パックを模したデザインの「Boys Tears」です。

 

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http://www.bbc.com/news/business-42314969

 

「ネットで大評判になったんです。たくさんの女の子たち、とくに韓国や日本の女子たちがネットで拡散して、このケースのストローから飲む真似をして撮った自撮り写真を送り合ったりしてくれたんです。このおかげでアジアの市場が開けてきました」。

 

一方で、会社が成長するにあたり新しい問題も出てきました。 それはイルゼのデザインを無断でコピーして使う違法商品が後を絶たないことです。

 

2017年5月、ヴァルフェーは「Rue 21」と「Forever 21」が著作権を侵害したという訴えを起こしました。 Rue 21とは示談が成立しましたが、Forever 21との訴訟は法廷に持ち込まれることとなっています。

 

いま、イルゼはファッションやアート以外の分野にも手を伸ばしたいと考えています。

 

彼女の生み出したキャラクターをベースにしたTV番組や、テーマパークなども将来の計画に含まれています。

 

「キャラクターたちに命を吹き込むことで、もっと多くのものをお客さんやファンの皆さんに届けたいと思っています」。

 

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