19歳の青年がシャイな性格を克服するためにやったこと 心理学者アルバート・エリスの実体験

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アメリカにアルバート・エリスという名前の有名な心理学者がいました。

 

ある日、この心理学者のセミナーに来ていた一人の女性が、自分の悩みを打ち明けました。

 

その女性はアメリ東海岸のニューヨークに住んでいます。

 

しかし彼女の婚約者はアメリカ大陸を横断した反対の西海岸にいます。

 

果たして仕事を辞めてその男性のもとに行くべきかどうか、決心がつかない。

 

もしその男性が、万が一自分の結婚相手として適さない人だったらどうしよう・・・

 

というのがその悩みの内容でした。

 

それを聞いたアルバート・エリスは、なんと「その男はダメ男かもしれないし、せっかく結婚しても将来離婚するかもしれないよ」と女性に答えました。

 

「そうなったらいい気分じゃないだろう。悲しくなってしまう」。

 

しかし、こうも言ったのです:

 

「でもひどい経験になるとは限らないんじゃないか?」

 

せっかく悩みを打ち明けた女性も、これでは何だか分からなかったでしょう。

 

しかし、この言葉こそがこの心理学者アルバート・エリスの思想を表していたのです。

 

 

 

私たちを困らせるのは私たちの考え方。起こった出来事ではない

アルバート・エリスの思想、それは「私たちを困らせるのは私たちの考え方であって、起こった出来事ではない」というもの。

 

仕事の成功、共に幸せになれる人間関係・・・そういう私たちが求めているものが私たちの頭の中で「こうならなくてはいけない」という絶対的な理想像に膨れ上がってしまう。

 

そのせいで、もしその通りにならないと、まるで「大惨事」が起こったような気持ちを抱かざるを得ない、ということなのです。

 

エリスはこれを克服する方法として「自分自身との対話を続けること」が必要だと説いています。

 

自分と向き合うことで、自分の中に隠れている「こうならなくてはいけない」というものを発見することがまず第一歩。

 

その「こうならなくてはいけない」というのはあくまで理想であり、自分の頭の中で考えたものに過ぎない、ということを理解していくことです。

 

こうして、現実と折り合いをつけていくことが、幸せへの道だと説いています。

 

1か月かけて130人の女性に声をかけたシャイな青年

アルバート・エリス本人も19歳の時、とても内気で女性の近くにいると話せなくなってしまうことに悩んでいました。

 

シャイになってしまうのは「自分は女性たちに存在を認めてもらわなくてはいけない」という考えにとらわれていたことが原因でした。

 

そこで彼はこれを克服するために、道端にあるベンチに座って目の前を通り過ぎる女性に「ハロー」と声をかけることをやり続けたのです。

 

1か月間やり続けて、声をかけた女性の数は合計130人にも及びました。

 

もちろんそのほとんどがエリス青年のあいさつを無視して去って行ってしまうのです。

 

しかし、たとえ女性たちに鼻であしらわれても死ぬわけじゃない、ということを認識するようになった、とエリスは語っています。

 

女性に声をかけてその場ですぐ受け入れられなくても、それは理想通りにならなかったというだけで、決して大惨事が起こったわけではない - エリスの主張に従えば、こういう説明になるでしょう。

 

エリスは、人の目を気にしてしまう人たちに対して、19歳の自分がやったことと似た方法で乗り越えることができると言っています。

 

例えば電車に乗って、一駅ごとにその駅の名前を大声で言う。

 

一人で電車に乗り、誰かに話すということではなく自分で駅の名前を声に出して言うのです。

 

もちろん周りの人はあなたを変な目で見るでしょう。

 

でもそれが目的です。

 

あえて恥をかくことで、最初は大変でも、そのうち人の目が気にならなくなる、というのがエリスの唱える効果です。

 

もちろんこれは実行するのがなかなか大変ですが、弱点克服の一つの方法であることは間違いなさそうです。