「成長株投資」のパイオニア フィリップ・フィッシャー
フィリップ・フィッシャー(1907 – 2004)はアメリカの著名な投資家です。
フィッシャーが1958年に出版した『フィッシャーの「超」成長株投資―普通株で普通でない利益を得るために』は投資の入門書で、初版以来のロングセラーとなっています。
フィッシャーは1928年、当時まだ開校したばかりだったスタンフォードビジネス学校を退学し、サンフランシスコにある英国系の銀行に証券アナリストとして就職しました。 (彼はのちにこの学校に教師として採用され、投資についての講義をしています。)
その後、短期間ですが株式投資会社に勤めた後、1931年に自分の投資顧問会社「Fisher & Co.」を設立しています。
1999年に91歳で引退するまで、この会社の実務を管理しており、自分のクライアントたちを裕福な投資家に育て上げました。
フィッシャーはシリコン・ヴァレーがIT産業で有名になる50年前から投資を始めていますが、すでに研究開発で革新的な企業への投資に力を入れていました。
彼は長期投資を実践しており、すぐれた企業の株式を適度な価格で購入することに努めました。
とても内向きな性格で、インタビューもほとんど行わず、新しいクライアントとは簡単には契約をしなかったといわれています。
1958年に初めての本を出版するまで、世間でもあまり知られていませんでした。
そして初の著作『『フィッシャーの「超」成長株投資―普通株で普通でない利益を得るために』』の出版によりフィッシャーの人気は急に高くなり、成長株投資という分野の開拓者として伝説的な地位を得ることになるのです。
この本は、投資関連の本では初めてニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに載った本としても記憶されています。
「モーニングスター」はフィッシャーを「史上最も優れた投資家の一人」とたたえています。
著作において、株式を売るベストなタイミングというのは「事実上ないといってよい」と語っているくらいです。
彼のもっとも有名な投資は「モトローラ」株で、1955年、まだこの会社がラジオ製造会社だったときに株式を購入しています。
そして死の時までこの株式を売らずに持ち続けました。
投資家としてのキャリアは70年以上に及び、その始めには1929年のウォールストリート市場暴落から世界大恐慌という恐ろしい経験もしています。
また、今日のベンチャーキャピタルやプライベートエクイティなどの投資、会社経営者へのコンサルティングなども行っていました。
「ほどほどの投資をたくさんやろうとは思わない。数は少なくとも、すぐれた投資をしたいのだ」(フィッシャー)