自撮りは危険? 心理面に及ぼす影響を知っておこう
何億人もの人がカメラ搭載のスマホを持つようになったおかげで、私たちはみなちょっとしたレポーターになりました。そして、自分の顔をレポートすることも多くなりました。いわゆる「自撮り」は、毎日百万枚以上がアップされているといわれています。あまりにも早スピードで普及したため、多くの文化施設などでは自撮りを禁止している所も出てきています。
このように、自撮りの急激な普及はちょっと困ることもありますが、それ以上の問題はないのでしょうか?
子供がおばあちゃんに自撮りの画像を送れば、おばあちゃんは喜んでくれます。これは素敵なことです。また、友達二人が学校での退屈な時間にふざけた顔の画像を交換すれば、気分を軽くし退屈さを共有するための安全なやり方のように感じます。
【自撮りが心理面に及ぼす「危険」】
多くの自撮りはナルシズムと不安の両方によって、どんどんエスカレートしてしまうものなのです。傲慢でナルシスト、かつ自己宣伝欲の強い人たちがこの流行を引き起こした張本人でした。そして、不安で周りの人と合わせようとする人たちがそれに続いたのです。
自撮りのほとんどがナルシストたちの送るものです。自分がイケていると思い、それをソーシャルネットワークに流すことで、いい気分になれる。これはさほど驚くことではありません。ほかのソーシャルメディアで見られる傾向と同じです。
しかし自撮りの危険な側面というのは、不安を感じている人たちに見受けられます。心理学者たちは、周りに鏡を置いた環境で自分自身を見続けていると、心理的にどのようなことが起こるか、長年研究してきました。まず人は自意識を感じ、自分自身を対象として見ようとしだします。それに続いて、自分自身を理想の存在と比較し始めるのです。そして私たちは「私はあるべき状態であろうか?」と、自問するようになります。ほとんどの人たちにとって答えは「No」です。その結果、不安が引き起こされてしまいます。
これは深刻な結果をもたらす可能性があります。自意識過剰、そしてより良く見えたいという否定的な欲求の問題を引き起こすことになります。
【自撮りによって引き起こされる不安】
私たちの社会は自撮りに囲まれています。自撮り画像はその人の魅力を率直に現している画像ではないのが普通です。そのためよく見える自撮りを追求する人たちは、自撮りの極意をマスターします。
キム・カーダシアンはネットに投稿する1枚を決めるまで、300枚撮影すると言われています。またセレブたちの自撮りはプロの現場のメイクと照明で、通常より良く見えるようになっているのです。
しかし私たち普通の人が自撮りをする場合は、素人の技になってしまいます。自撮り画像を良く見ると、なりたい自分よりはるかに魅力がなくなっていることに気づきます。少しゆがんだ顔、小さなしみのある肌、思っていたよりも多いしわ、実際より太めに見える体型…
そこで自撮りに満足できない人は、自分自身が変わろうと考えるでしょう。ネットやアプリで肌のトーンをならすこともできます。またキム・カーダシアンのまねをして、満足いくまで何枚も撮ってもいいでしょう。さらに極端な例ですが、自撮りのせいで美容整形を求める人が増えているのも事実なのです。
【スポットライト効果】
しかしまわりの人たちは、私たちが考えるほど見た目を悪く言ったりしないものです。みんな自分のことで忙しくて、あなたの見た目などそれほど気にしていないのです。心理学ではこれを「スポットライト効果」と呼んでいます。
また、世の中は楽しいことにあふれています。たしかに私たちは自撮りを友達や家族に送るでしょうが、あまり自分の見た目に取り付かれて世の中のことを見逃してしまうようなことはないようにしましょう。
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