ラルフ・ワンガーという投資家の名言
5~10年にわたって成果を出してくれるような長期投資を考えている場合に問題となるのは、将来の動向を私たちから隠してしまう「巨大な霧」の存在です。
しかし、この霧があっても何とかして見通しを立てないといけません。
そのためには長期にわたるトレンドをつかむことが必要になります。
ある特定のビジネスに有利に働くような、長期トレンドを読み取れることが大事です。
これはアメリカのファンドマネージャーであるラルフ・ワンガーのコメントです。
【ラルフ・ワンガーという人物】
ワンガーはマサチューセッツ工科大学で修士号を取得後、保険業に従事しました。
その後、シカゴにあるハリス・アソシエイトで投資家としてのキャリアを開始します。
証券アナリストやポートフォリオ・マネージャーを経て、1977年にエイコーン・ファンドを設立しました。
そこでは2003年に引退するまでポートフォリオマネージャーならびに社長として業務を続けます。
彼の在職期間中、S&P500インデックスは12.1%上昇していますが、エイコーン・ファンドは年率16.3%のリターンを得ていました。
【ワンガーの投資方針】
ワンガーの投資スタイルはきわめてシンプルです。
小規模企業の株を長期間保有する、と言うものです。
その投資対象となるのは、以下の特徴を持っている小規模企業になります。
- しっかりとした財務基盤がある
- 企業運営の能力があるマネージメント体制になっている
- マクロ経済のトレンドのおかげで業績向上が見込まれる、理解しやすいビジネスである
ワンガーは「テーマに沿った投資」という方針を採用していました。
たとえば、カリフォルニアのゴールドラッシュ時代を想定した場合、彼は金の所有権に投資するのではなく、金採掘で使うツルハシやシャベルを扱っているビジネスに注目するのです。
金鉱そのもの価値が上がるのは数ヶ月間のみですが、金採掘をする人たちは数年間にわたって採掘を続けるからです。
ワンガーは投資情報についてとても貪欲であったといわれています。
ある投資先の企業価値判断をする場合、彼は以下のような情報を求めたようです。
- その企業の商品・サービスについて成長の見込まれる市場
- その企業が市場の一定割合を占めているという証拠
- 優れたマネージメント
- 理解しやすいビジネス
- その企業のマーケティング・スキルを示す証拠
- レベルの高いカスタマーサービス
- その企業の大きな持分を得られる可能性
- 確固たるバランスシート構成
- 株価が魅力的な水準であること
さらにワンガーは、「良い会社の悪い株式を保有する可能性もあるのだ」とつねに自分に言い聞かせ続けた、といわれています。
ワンガーは1999年に『Zebra In Lion Country』という著作を発表し、自身の投資について語っています(英語版のみ)。
【覚えておきたいワンガーの言葉】
最後に、ワンガーの言葉をいくつか引用します。
「魅力的な投資分野と言うのは、5年以上続く良好な特徴があるものだ」
「世の中は変わってゆくものなのです。ですから30年前に成功をもたらしたものも、今ではもう通用しません。しかし私の意見では、小規模な企業への投資に専念することで、新しいトレンドをつかむチャンスが高まると考えています」
「もし、あなた自身や周りの人たちが株式市場の将来を予測できると信じているのであれば、あなたは笑い話の種にされるでしょう」
「技術を持った会社に投資するよりも、技術によって業績向上ができる会社に投資することです。このやり方は、産業革命以降ずっと有効な方法となっています」
(The Greatest Investors: Ralph Wanger)