「やらないことリスト」で毎日のスケジュールを変えよう
私たちの毎日は、どうしても「やることリスト」を一つひとつこなしていくことで終わってしまいがちです。
しかし実際には、流れ込んでくる大量のメール、始終出入りする多くの人々、そして鳴りやまない電話のせいで思いどおりに進むことはまずありません。
では、これを「逆方向」に考えてみたらどうでしょうか?
この場合の「逆方向」とは、「やることリスト」の代わりに「やらないことリスト」を考えてみるのです。
「良いことを最大に」ではなく「悪いことを最小に」
カナダの企業家で投資家のアンドリュー・ウィルキンソン氏は、この「やらないことリスト」で自分のスケジュールを大きく変えることができた人です。
ウィルキンソン氏は、一日が自分のやりたくないことで埋め尽くされていることに気づきました。
好きではない人との仕事がいつも入っていて、自分のスケジュールが事実上ほかの人たちに決められてしまっているように感じていたのです。
何とかして自分の毎日のスケジュールを改善することはできないだろうか。
そしてもっと楽しい一日にすることはできないものか。
ウィルキンソン氏はそう考えた結果、チャーリー・マンガー氏の考え方を採用することにしました。
チャーリー・マンガー氏は、著名な投資家ウォーレン・バフェット氏とともに投資の世界で大きな成功を収めた人物です。
マンガー氏の唱える考え方は「倒置法」です。
つまり物事を反対方向から見ることにより、「良いことを最大にする」というふつうの考え方ではなく、むしろ「悪いことを最小に抑える」ことを目指す、というものです。
ウィルキンソン氏はこの考え方を自分の最悪の一日に当てはめてみました。
その日は長いミーティングや虫の好かない人・信頼できない人との仕事などでスケジュールがびっしりと埋まっている日でした。
このスケジュールに対し、ウィルキンソン氏はまったく反対のものを当てはめてみました。
つまり、ミーティングは短く、一つのスケジュールは2時間以内、気に入らない人との仕事はない、というスケジュールだけにするのです。
これらのおかげで、彼のワークライフは格段に向上したと言っています。
「人はいつも自分の進みたい方向を考えようとする。”どうすれば私は幸せになれるだろう?” という、終わりのない問いかけが続く。しかし、何が原因で自分の生活がうんざりするものになっているのかを見つけほうが、はるかに簡単なのだ」。
他にもいる 「やらないことリスト」の愛用者
このようなアプローチをしているのは、ウィルキンソン氏やマンガ―氏だけではありません。
作家のティム・フェリス氏も「やらないことリスト」のパワーを認めている人の一人です。
「理由は簡単です。何をやらないかを決めることで、何ができるかが決まるからです」。
相手に勝手にしゃべらせない、明確な議題のないミーティングには出席しいない・・・といったことがフェリス氏の「やらないことリスト」に書かれているそうです。
オーストラリアでPR会社を経営するアンジェラ・セベラーノさんもまた「やらないことリスト」を活用しています。
彼女の場合「交通信号システム」と呼んでいる方法を使っています。
自分の予定を「止める」「進める」「続ける」という3つの段階で分ける方法です。
このやり方で生産性の低い活動を止めてしまうことが、目標達成のためには決定的に重要だ、と彼女は語っています。
このように、「やらないことリスト」は私たちに異なった視点を与えてくれます。
ふだんのスケジュールに内在する問題を私たちに示してくれる方法なのです。
そして毎日の仕事の見直しをすることで、目標をよりはっきりさせ、明確な方向に進むことができるようになります。