グーグル人事が語る「優秀な社員を手放さないための二つの条件」
グーグルの人事を担当するラズロ・ボック氏。
著作『ワーク・ルールズ!: 君の生き方とリーダーシップを変える』でも知られるボック氏は、ブルームバーグで行われたインタビューで「ほとんどの企業は、優秀な社員を確保するためにどうすればよいかをわかっていないのです」と語りました。
「社員たちはお金のためにある会社で働き続けるのではありません」。
グーグル創設のときに働き始めた100人の従業員のうち、いまだに3分の1以上がグーグルで働き続けています。
彼らはグーグルのIPOによってすでに多額のお金を手にしているにもかかわらず、グーグルの社員であり続けています。
ボック氏は、人が今の会社で働き続けるには二つの条件が必要だといいます。
優秀な従業員の確保はどの会社の人事にとっても、どのマネージャーにとっても大事なことです。
また転職を考えている人にとっても、次に働く会社は従業員が長く働ける職場であってほしいと思うはずです。
ボック氏の指摘する「二つの条件」は、誰にとっても知っておいて損はないことなのです。
① いっしょに働く人のクオリティの高さ
グーグルの採用条件はとても高いことで知られています。
事務作業アシスタントのポジションでも、シニアエンジニアのポジションでも、すべての候補者は将来の上司、将来の同僚、採用審査委員会、そしてCEOのラリー・ペイジにいたるすべての人たちによってその資質が審査されることになります。
そのようにしてクオリティの高い人たちが同僚になることで、その職場に合った人材が集められることになるのです。
② 自分の仕事が意味のあることだと感じること
「人はお金を稼ぐ以上のことをやりたいと感じるものです」とボック氏。
「何らかの意味のある仕事をやりたいと人は考えます」。
社員一人ひとりが目的意識を持っているということは、従業員確保以上の意味があります。
ペンシルヴァニア大学ウォートン校のアダム・グラント教授の研究によると、自分の仕事が有意義なものにつながっていることを分かっている社員は、仕事の生産性が最大で5倍にまで伸びる、という結果を発表しています。
【社員サービスの良さは関係ある?】
グーグルはおいしい社員食堂、社内のマッサージ室、クリーニングサービスなど、従業員向けのベネフィットが充実していることでよく知られています。
しかしこれらの充実した社員向けサービスも、歓迎されるものでああっても業績を変えるようなものではない、ということです。
「これらの従業員サービスの実態というのは、社員を確保したり新しい候補者を引き付けたりするものではありません」。
ボック氏は、充実した社員サービスは効率の良さやコミュニティなどを確保してくれますが、退職しようとしている人を引き留めるような力はない、と言っています。