物書きに必要な3要素と「WHY?」の問いかけで自分の世界観を作る
アメリカの作家ウィリアム・フォークナー(1897~1962)。20世紀のアメリカを代表する作家の一人で、1949年にノーベル文学賞を受賞しています。
彼はかつてこのような言葉を残しています。
書くということは、経験と、観察と、想像力を必要とする。
文字通り、作家として必要な3要素を簡潔に述べた言葉です。時代にも国にも関係なく、物書きにとって役に立つアドバイスといえるでしょう。
また作家ではない私たちは、これを自分の人生観・世界観を構築するためのアドバイスとして役立てることが出来ます。
【経験】
人生は経験の連続です。
もしあなたが10代の青年で、まわりの大人たちから「君はまだ若い」と言われていたとしても、やはり十数年間の経験は積んできているのです。
この経験をただ「思い出」として頭にしまっておくのは、とてももったいないことです。
今まで自分の物の見方や考え方に影響を与えた出来事があったでしょう。
それをもう一度よく思い返し、その出来事のどのような部分があなたに影響を与えたのか、そして影響を受けた結果、自分はどのように変わったのか、あらためて考えてみましょう。
【観察】
これは目の前で起こることを見て成り行きを理解する、という単純な観察だけをいうのではありません。
本を読んで覚えたことや、人から聞いて分かったことも含めます。
また言葉では表せないこと、例えば友人同士が話をしているのを横で見ていて、そのときに友人が見せた顔の表情に表れたなんとも言えない感情、などということも「観察」に含めていいでしょう。
つまり、自分が当事者として経験していなくても取り入れることができた情報を、ここでいう「観察」と考えます。
【想像力】
経験も観察も、歳をとれば自然と多くなります。
しかし歳をとっているからと言って、必ずしもその人の人生や人間性が豊かになるとは限りません。
なぜでしょうか?
経験も観察も、それぞれ個別の事象に過ぎません。
いわば、自分の人生を生きる上で起こったり見たりした「点」に過ぎないのです。
年をとって経験や観察が多くなれば、この「点」も多くなりますが、点々がどんなに多く散らばっていても、そこから何の進展もありません。
しかしある点が他の点と結ばれ、さらに平面を描き、願わくば立体的に構築されてゆけば、経験や観察では分からなかったものが見えてくるでしょう。
その時に必要なのが想像力です。
【Why?】
日本語で想像力と言うと「好き勝手に空想する」ようなイメージがありますが、ここで言う想像力は「理由付けをして論理的に組み立てる」という意味として捉えましょう。
では想像する、すなわち理由付けをして論理的に組み立てるためには、どうすればよいでしょうか?
それには「Why?」と問いかけてください。つまり理由を考えることが大切です。
もし理由を考えてみても経験や観察が論理的につながらなかったら、
①もう一度Why?と問いかけ別の理由を探すか、
②自分の知らない経験や観察がある(「A→B→C」なのにBを知らないためAとCがつながらない)か、
のどちらかです。
これを積み重ねてゆけば、自分独自の豊かな世界観・人生観を築くことができるはずです。