成功したイギリスの企業家たちが明かす過去の失敗例(そして教訓)
起業を夢見ている人が多くいる中、その第一歩を踏み出せる人はあまり多くありません。
さらに、その中から成功できる人はほんのわずかです。
このBBCウェブサイトの記事では、イギリスの著名な実業家たちにあえて過去の失敗を語ってもらい、そこから得た教訓を教わろうという趣旨の内容です。
出典:BBC News - Entrepreneurs reveal their failures en route to success
これから始める人、すでに起業した人、また何らかの間違いのために行き詰まっている人、それぞれが何らかを学べるでしょう。
リチャード・ブランソン(「ヴァージン・グループ」創設者)
私の最も有名な失敗といえるのは、一年間かけてコカ・コーラに勝とうとしたことだ。
私たちの「ヴァージン・コーラ」は取扱店で素晴らしい売上を見せた。
しかしコカ・コーラ社は、文字通りボーイング747機を満員にする数の人員と資金を送りつけて対抗してきたのだ。
ヴァージン・コーラの在庫は店の棚からどんどん消えていった。
コカ・コーラ社はヴァージンをつぶすことに成功したのだ。
ここから得られた教訓は、自分自身が競争相手より優れていないと勝つ見込みはない、ということだった。
私からのアドバイスはこれだ:“奪い取れ。とにかく奪い取れ”。
ジョー・マローン(「ジョーマローン」創設者)
私は今まで何百回も間違いをおかしてきました。
ブランド「ジョー・ラヴズ」を立ち上げたとき、著作権などにに多額の金をつぎ込んでいたにもかかわらず、グーグルでしっかりチェックをしていませんでした。
後になって、私たちのブランド名と似ている名前がグーグルでトップに出ているのが見つかりました。
彼らはその名前でバイブレーターを売っていたのです。
私たちはこれをチェックし損ねていました。
あれが私の最大の間違いで、あの時は自分を戒めて、そしてもう一度奮い立たせる必要がありました。
ビジネスでおかした失敗のせいで、私たちはとんでもなく遠くへ連れて行かれてしまうことがあるのです。
ジェラルド・ラトナー(旧「ラトナー・グループ」創設者)
私に最悪の失敗について質問するということは、タイタニックの船長に質問するのとちょっと似ている。
私は1991年に「Institute of Directors」というところでスピーチをするよう頼まれ、いくつかジョークを交えて話をした。
そのひとつに99ペンスの売上についてのものがあった。
99ペンスであればマークス&スペンサー(イギリスのスーパーマーケット)のサンドイッチと同額だし、サンドイッチは長い間売れるものだ、と冗談を言った。
さらに私はエスカレートし、私たちが売っている4ポンド99ペンスのシェリーを入れるデカンターについて話をした。
このデカンターがこんなに安いのは、品質が悪いからですよ、と言ってしまったのだ。
この結果、人々は私の店をボイコットするようになってしまった。
特にゴシップ紙は私がお客さんのことを馬鹿にしていると書きたてた。
私はそんなことは絶対しないのに。
彼らは私をゴシップ上のカモに仕立て上げ、18ヶ月間がんばってみたものの、結局CEOを辞任することとなったのだ。
ひどい経験だった。
20年かけて築き上げた私のビジネスの悲しい終わりだったのだから。
その後私がまたビジネスに戻れるまで、さらに7年かかってしまった。
私のアドバイスはこうだ:
あきらめてはいけない。
人はあなたを拒絶するだろう。
しかし拒絶されたということは、実は成功への道を歩んでいるということなのだ。
拒絶を喜ぼう。
なぜなら目標を達成するまでには、何度か拒絶を通過しなければいけないからだ。
ダグ・リチャード(アメリカの実業家、「School for Start-ups」創設者)
私は自分がリスクの高い事業をしているという事実を受け入れている。
リスクのないところには得るものもないからだ。
私は自分の第二のビジネスであったソフトウェア会社を大きな上場企業に売却した。
私は現金の代わりに株式を受け取ったが、その89日後に株価は99%下落し、私は完全にやられてしまった。
私のアドバイスは、“現金で受け取れ”ということだ。
リチャード・リード(「イノセント・ドリンクス」創設者)
起業したとき、私たちはプラスチックボトルを作る会社と、そのボトルにフルーツスムージーを入れる会社を持っていた。
この二社はまったくつながりのない会社だったが、ある時それぞれ別々に、これ以上ボトルの製造はできない、スムージーの梱包はできない、と電話で伝えてきた。
24時間後にはもうやめると言っているのだ。
結局私たちは、一晩でビジネスを失ってしまうこととなった。
私たちはなんとかそこを切り抜けたが、この経験のおかげで学んだことがある:目の前のプランに集中せよ、しかし緊急事態があったときにどうするかを考えておけ、ということだ。
もし座ってじっくり考え、100%間違いなく、100%自信があるときまで待っているようならば、先に進むことはできないだろう。
ピーター・ストリングフェロー(「ストリングフェローズ・ナイトクラブ」創設者)
私は73歳だ。実業家を50年間やってきた。
これまでたくさん間違いをしてきた。
間違いと言うのは、そこから学ぶべきものだ。
何らかの成功があるならば、たくさん間違いをしていい。
それから、失敗を恐れてはいけない。
もし企業家精神の持ち主で、前進しようとする熱意を持っていれば、いくつかの失敗など重要ではないのだ。
リズ・アール(リズ・アール・スキンケア創設者)
私たちの最大の間違いは、初期の頃にまわりの力に頼らなかったことです。
私たちはみんな若いお母さんでしたが、毎日20時間働いていました。
振り返ってみて思うのは、私たちはもっと自分に優しくあるべきだった、ということです。
そしてもっと早い段階で専門家たちを招き入れるべきだった、と思っています。
私からのアドバイスとしては、“急いではいけない”ということです。
私たちは、たとえ準備ができていなくても目の前にあるチャンスはすべて試してみよう、と思いがちです。
こんな格言があります:“もし今やらなければいけないのであれば、断りなさい”。
すばやい決断を迫られる状態に陥らないというのは、とても大事です。
まずはゆっくり床をはうように進み、次に歩き、そして走る。私はそういうスタンスを取っています。
デール・マレー(エンジェル投資家)
私は人を表面だけで判断してしまったことがあります。
私は自分がとても率直な性格であるため、相手も率直であろうと考えてしまったのです。
多くの人はそうでしたが、中にはそうでない人もいました。
このような信頼に値せず、自分とは異なる目的を持っている人たちと仕事をすることは、とても傷つくことになります。
私たちが求めている起業家というのは、自分のことは自分で後始末し、自分で立ち上がれるような人たちなのです。