脚本家として成功するための10の秘訣

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トニー・ギルロイはハリウッドでもっとも売れっ子の脚本家の一人です。『ディアボロス/悪魔の扉』や『ボーン・アイデンティティー』に始まる「ボーン・シリーズ」など、彼の脚本によるヒット映画はたくさんあります。

 

以下は、ギルロイによる「脚本家として成功するために必要な10の秘訣」です。映画脚本家を目指す人はもちろんのこと、それ以外の創作活動をする人すべてに役立ちそうなポイントが並んでいます。

 

 

 

1. 映画を観に行く

講座や教科書から学べることは何もないと思います。私たちは昔から映画を観てきた。自分の生活をセリフで一杯に満たしてきた。必要なものはすべてあなたの中にあるのです。

まずは映画を観に行きましょう。言葉で表現をし、想像力を働かせ、脚本を書くという野望を持つ。それが求められるすべてです。何をやるにしても、自分で学ぶことが出来るのです。

 

2. 想像力で作り上げる、しかしリアリティも必要

脚本の執筆は想像力の仕事です。脚本家は物事を作り上げる人です。生活の中で出会うものはすべて作り上げられたものなのです。私たちが分かっていなくてはいけないことがあります。それは “お約束ごと” をその通りに進ませないものがあるということです。それは「人間の行動」です。

あなたが書く作品の質は、あなたが人間の行動を理解しているかどうかに直接関係しています。自分の頭の中にある映画の構想のためには、まずジャーナリストとして調査活動をしなくてはいけません。ジャーナリストとしてしっかりとしたリポートが書ける、それくらい理解している必要があるのです。それくらいすべてのシーンにリアリティがなくてはいけません。

 

3. 小さなアイデアから始める

大きなアイデアは上手く行きません。自分で築き上げることが出来る小さなアイデアから始めましょう。

「ボーン・シリーズ」では、私は原作本を決して読みませんでした。初めから作りだしたのです。ジェイソン・ボーンについての小さなアイデアというのは「もし自分が何者かを知らなかったら、もし自分がどこから来たかを分からなかったら、おそらく自分が知っていることから自分が何者かを判断するだろう」というものでした。この小さなアイデアから、一つの世界全体を作り上げていったのです。

まずは小さなところから始め、少しずつ広げてゆき、一歩々々進めていく。それがハリウッド映画を書くやり方なのです。

 

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4. 脚本家としての感覚を身につける

私の父も脚本家でしたが、これは決してクリエイティブな血筋・家系だということではありません。私は父が懸命に働いているところを見て覚え、また脚本家の生活のテンポがどういうものかを学びました。つまり、感覚や才知でやって行かなくてはいけないということです。

自分の感覚を持っている人といっしょに暮らしていると、あなたにとってはその生き方がふつうのことに見えるでしょう。そういう生き方をすることを恐れることもなく、その生き方のリズムを理解できるようになるのです。

 

5. テレビのために脚本を書く

いい映画をつくるのはどんどん難しくなっています。しかしテレビではあいまいさと現実の影のようなものが生きています。面白いストーリーになるのはこういうところなのです。 多くの脚本家たちがテレビについて熱心に取り組んでいます。脚本家たちが主導権を握っている業界でもあるのです。脚本家がコントロールできると、よいことが起こります。理にかなった考えをし、一生けん命に働き、人のために役立とうとします。

脚本家がエンターテインメント業界で一定の役割を果たす場合、物事は考え抜かれていきます。ですからテレビこそ脚本家主導のユートピアだと言えるのです。

 

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6. どこにいても、いつでも執筆作業ができるようになる

私は自宅に事務所を構えています。ホテルの部屋にこもって書いたことも何度もありますし、今はどこにいても書くことが出来ます。しかし究極の目標は、デスクに向かって書くことです。

執筆作業が上手く行っているときは、私は途中でやめるのはイヤです。キャリアを重ねて知恵もついてきたので「上手く行っているときには止めずに続ける」ということをよく分かっています。自宅に電話をかけて「夕飯はいらない」と言ってひたすら書き続けます。 実はそれ以上に、デスクに向かいたくなるということ、そして仕事に出かけることを恐れないこと、を私は望んでいるのですが。

 

7. 割のいい仕事を見つける

私は脚本の書き方を身につけるまで、バーテンダーとして6年間働いていました。 脚本を書きたい場合、もしあなたが若く、まだ誰にも知られていないのであれば、できるだけ割合のいい仕事につくようにしましょう。残った時間をたっぷりものを書くことに使えるからです。

文化芸術関係での人脈をつくれるような場所にも顔を出す必要があります。映画もできるだけたくさん観て、多くの人たちと接する機会を持つことも大事です。そういうことが出来る場所に住んだほうがいいでしょう。同時に、とにかく書いて書いて書きまくることが出来る、そういう場所も必要になるでしょう。

 

8. 広く浅く興味を持つ

もし何も言うことがなく、ただたくさんの映画を観たということ以外何もやったことがないとしたら、果たしてあなたの書く物に何の意味があるでしょうか。私たちは自分が知っていることしか書くことが出来ません。何を知っているかということが、あなたを制限してしまうか、もしくはあらゆることへの可能性を開いてくれるかを決めてくれるのです。

たくさんのことに目を向け、興味を持ち続けてください。私はきわめて浅いことしか知りませんが、広い範囲について知識をもっています。映画学校を出たばかりの20歳の学生よりも、ジャーナリスト、警官、医者、銀行員などが脚本家になるほうがよっぽど面白いものを書くことが出来るでしょう。

もちろん例外もあります。しかし、もし何も書くことがなかったとしたら、なぜ脚本家になろうとしているのか、考え直すべきです。

 

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9. ロサンゼルスに住む必要はない

LAに住まなくてはいけない理由など何もないと思います。むしろLAは脚本家にとっていい所ではありません。頭に必要なものを入れるためにはよくない所です。

LAでは人々はいつも車を乗り回していて、意気消沈させるような連中に取り囲まれてしまいます。ハリウッドには、若い脚本家たちが人生のロマンスを感じるようなものはないと思います。

 

10. 分厚い面構えで、とにかく続ける

拒絶されることに慣れるのはとても大切です。脚本家たちが怖気づいてしまう理由の一つは、今まで自分のやって来たことに疑いを持ってしまうことです。それくらい書いたものは却下されるものなのです。

小説家でも作曲家でも画家でも、これは同じことです。外の世界から拒絶されたときは、それでも先に進もうとするか、そこであきらめてしまうか、どちらかしかありません。 しかし私が思うに、最もつらい時というのは何ごとも起きないときだと思います。何か隠し事をしたことがある人であれば、これがよく分かるでしょう。書くことが出来るということが、すべてを越えた喜びなのです。

 

 

 

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